輸入・小売を担う「DEPOS事業」と、設計・工事を担う「空間創造事業」。ハンワホームズでは両者を掛け合わせ、他にはない強みと可能性を生み出しています。空間創造事業 事業部長の鶴(つる)結介さんと、DEPOS事業 事業部長の東家(とうや)さんに両事業の今と今後の成長戦略を伺いました。
目次
(鶴)
もともとは「エクステリア事業部」という名称で、主に外構工事を担っていました。2021年に「空間創造事業部」に名称を変更したのですが、それは単に名称を変えたというよりも「屋外空間を含め、空間全体をデザインしていく」という意思を込めたものです。
実際の仕事はエクステリア工事の延長線上でしたが、輸入家具や部材の提案を組み合わせ、よりトータルで空間を演出する取り組みを始めようとしていました。
(鶴)
当初は、DEPOS事業部は物販を担当、空間創造事業部は工事を担当するという分業が基本でした。家具を納品しても、事業部を横断する提案のような、直接的な連携はしていませんでした。
(東家)
その体制が大きく変わったのは2023年だったと思います。ホテル敷地内にBBQ施設を作るという案件が、初めて両事業部が一体となって動いたプロジェクトでした。この案件はDEPOSがきっかけをつくり、そこから設計や施工などの実務を空間創造事業部が担いました。
※BBQ施設のプロジェクトについては、こちらのインタビュー記事で詳しくご紹介しております。
(鶴)
基本的な流れとしては、まずDEPOSがエクステリアなどの販売を通してお客様との接点を持ち、そこから設計・工事の案件につなげていきます。その後の設計や工事に関しては空間創造事業部が主体となって進めていきます。
(鶴)
現在(2025年9月時点)、全体の売上のうち3、4割が2事業部の協業によって生まれています。ヴィラの開発や公園の開発、ホテルのリノベーションといった案件で両事業部が関わるケースが増加しており、今後もこうした協業案件の比率をさらに高めていきたいと考えています。
▲ 二色の浜で行ったヴィラ工事のイメージパース。
(東家)
商品の輸入スキームを自社で持っていることが強みです。お客様にとっては、コスト面と納期の短さが分かりやすいメリットかと思います。
海外から直接商品を仕入れることができるため、コストを抑えながら色や形、質感といった細部に至るまでお客様の要望に沿った提案が可能です。国内調達では難しいオリジナリティを持たせられることも多く、予算に合わせて柔軟に対応できることも大きな利点になっています。
納期に関しても、弊社が中国などアジア圏のメーカーさんとお取引をさせていただいていることから、ヨーロッパ圏から輸入するよりも納期を3〜4ヶ月ほど短縮しております。仕入れ担当の金のインタビューでも話していますが、アジア圏の技術力は年々高まっておりますし、品質の高さも担保できます。
(鶴)
さらに深い部分では、DEPOSが「ソフトな入口」となり、そこから空間全体の提案へとつなげられる点も大きな強みです。まずは家具や小規模なアイテムから関わり、そこから、「空間全体の設計・施工」といったより大きな案件に広がるケースが多くあります。結果として受注確度も大幅に高まります。
(東家)
私が常に大事にしているのは、「まず実現方法を考える」という姿勢です。
たとえば「この形・この色の商品が欲しい」といったピンポイントなご要望は、条件が細かいぶん難易度が高いことも多いですが、できないと決めつけず「どうすれば実現できるか」を起点に動きます。ある工場で不可能でも、別の工場なら対応できることもありますし、一つずつ連絡して最適な選択肢を探します。通常は「大ロットのみ製造可」という条件でも、1個から製造を対応してもらえるよう交渉することもあります。
どんな要望にもまず応えようとする姿勢が、「ハンワホームズなら任せられる」という信頼につながっているのだと思います。
(鶴)
そのような企業が少ないのは、両者のビジネスモデルが大きく異なることが背景にあります。「シナジーが生まれるから、小売や輸入もやった方が良い」というのは、言うは易く行うは難しです。
弊社が両事業を成立させられているのは、事業部を縦割りし、責任者を明確にしたことと、東家にDEPOS事業を任せたことが大きいと思います。
もし私や経営陣がDEPOSの実務まで深く関与していた場合、空間創造事業の視点で最適化された運営に舵を切っていた可能性が高いと思います。たとえば「toC向けのEC販売にはリソースを割かず、利益率の高いtoBに特化しよう」「EC販売を行わず、輸入した商品を工務店に卸すビジネスモデルに切り替えよう」といった判断をしていたかもしれません。
利益や業務効率といったわかりやすい指標だけで判断せず、「より適正な価格でお客様に提供したい」という東家の想いがあったからこそ、現在の事業部間シナジーが生まれたと思っています。
(東家)
私が2018年に弊社に中途社員として入社し、その1年後には事業部の責任者を任せていただきました。
(鶴)
一般的に見るとかなり早い段階で責任者というポジションを任せましたが、弊社にはそういった「抜擢文化」があります。年齢や業界経験などにとらわれず、個人の能力やポテンシャルなどを踏まえて思い切って任せるようにしています。結果として異なる性質の事業が共存し、それぞれが成果を出すことで、大きなシナジーを生み出すことにつながっていると思います。
(鶴)
そうです。DEPOS事業に関しても、当時社長を務めていた先代である父が「100万円使って新しい事業を立ち上げてくれ」と私や兄(現社長)に任せてくれたことがきっかけで始まっています。2024年にIPOをしてからはさらに強化されたと感じています。
社会に対して「挑戦する企業である」と公言しているからこそ、言霊のように文化としてより強く根付いたと思います。
(東家)
私もIPO後は社外からの注目度も高まり、「挑戦を通してお客様や社会に価値を届ける」という意識が社内全体で強化されたと思います。
社員一人ひとりが自覚を持ち、外に向けても誇れる姿勢を体現することで、組織全体がさらに挑戦的な文化へと進化していると感じます。
(インタビューの後半はこちらからご覧ください。)